ハイパーメディアクリエイター高城剛氏1992年のインタビュー

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高城剛インタビュー1992  

高城剛氏 - ハイパーメディアクリエイターとして、また DJ TAKASHIRO として、あるいはまた
女優沢尻エリカの結婚相手として知られる高城氏の1992年春(27歳の時)のインタビュー
です。<FILAS11号>

高城剛 "Life is a Journey" - YouTube


ハイパーメディア・クリエイター 高城 剛氏インタビュー  

<この春(1992年)、幕張メッセでマックワールドエキスポというイベントがありましたが、
コンピュータが見せてくれる可能性にワクワクしてしまいました。
そこで今回は、コンピュータ・グラフィックス(以下 C G と略します)を専門に、
各方面で活躍していらっしゃる高城剛さんにお話をうかがってきました。
高城さんの作品には、俳優のレナード・ニモイ(『スタートレック』のミスター・スポック役や
『スパイ大作戦』に出ていた俳優)がエスカレーターの前で宙に浮いているコマーシャル(帝人)や、小泉今日子のプロモーションビデオなどがあります。
テレビでご覧になったことがある人も多いと思います。>

[ 高城剛 (たかしろつよし) 氏のプロフィール ]  

1964年8月18日東京生まれ。
日本大学芸術学部卒業。
出版、映像コンピュータの各メディアで活躍中。
1987年に東京国際ヴィデオ・ビエンナーレ・グランプリを受賞するなど、ビデオアーティストとして受賞歴も多い。
大のコンピュータ好きで6台のコンピュータと暮らし、スーパー・ファミコン用のゲーム制作まで
手掛けている。

超自然を表現するにはコンピュータしかないと思う  

高城さんはコンピュータを使って未開拓の分野を切り開いていらっしゃると思うんですが、
まず仕事について聞かせていただけますか?

高城
基本的には演出家という仕事をしています。
コマーシャル、テレビ、ミュージックビデオ、そしてコンピュータのソフトの面の演出もしています。

 僕は目に見える自然界ではない自然のもの、超自然なものといかにアクセスしていくか
ということに興味をもっているんです。

 コンピュータはデジタルの世界だとよく言われます。
確かにコンピュータのマシン自体はデジタルです。
普段、僕らのまわりにあるもの、たとえば、観葉植物などはもので言えば、
アナログに近いものです。
そういうアナログとデジタルと、もうひとつ超える何かがあったらそれはいったい何なんだろう、
ということを僕は考えています。

 時間に僕はとても興味があって、たとえば植物が成長する過程であるとか、
もしくは地球が生まれてからの何十億という年や、これから地球がどこへいくのか、
あるいは人間そのものがもっている時間が気になる存在なんです。
この時間を自由にできないかなと思っている。
そこで表現できないかなと考えていて、その可能性をコンピュータの中に見ているんです。
時間軸の中には、通常の我々の目に見えないものがあるはずですからね。

 それから、女の子を撮る場合に、その子をきれいに化粧して、きれいに光をあてて、
きれいな角度で撮るのは当たり前で、いかにいいエネルギーをカメラ側に出すかというのが、
演出家である僕の仕事です。
ですから目に見えないいろんなツボを、いかに指でさすかということが重要なわけです。
もともと僕の家は茶道をやっていて、そういう精神的なものを、いかにこのデジタルなものに
織り込むかということが仕事だと思っています。

 僕は見えないものの可能性を信じている。実際にそういうものをもっと見たいと思っている。
その可能性というものを映像で具体的に表現する場合に、僕はコンピュータを使っています。
コンピュータのすごいところは、見えないものを見せられる。
実際にはないものを表現できるということが、一番すごいところだと思う。
超自然を表現するには、僕はコンピュータしかないと思っています」

お茶の間感覚でカジュアルにCGを楽しんでほしい  

誰も見たことがない世界を映像化するには、まずその見えない世界をイメージするセンスとそれをデジタルの世界にのせるセンスの両方が必要ですよね。

高城「もちろんそうですね。
実際には見えないんですけど、なんとなくわかったりするじゃないですか。
なんとなくわかる。
たとえばこの人(と言って後ろにあるポトスの鉢を指す)の気持ちが、僕はなんとなくわかったりするときがあるわけです。
そういうことが大切だと思うんです。
もっと大きいものでもいい、地球の気持ちとか、そういうことがなんとなくわかったりするわけです

なるほど。それにしても、コンピュータで表現しようと思ったのはどうしてなんですか?コンピュータとの出会いというのは何だったんですか?

高城「僕はたんに新しいものが大好きなんですよ。
コンピュータは十三歳ぐらいのときから触っているから、もう十四年ぐらいになる

仕事になったのはどれくらい前からですか?

高城「それはまだ、ここ四、五年ですね。
コンピュータを使って表現するようになったのは、最近の話ですよね。
このフィラのように出版でコンピュータが使われ始めたのも、それくらいでしょう

学生時代にコンピュータを使っていて、将来、仕事になるとか考えていました?

高城「考えてない。
自分の作品のために、自分がこれをつくったら気持ちいいなというものをつくっている。
いまだにそれに近いかもしれない。
でも仕事となると、なかなか難しいこともある

そうですか。なんか楽々とつくっていらっしゃるように見えますけれど。フィラを一冊つくるのにも、データを入力するのに時間が随分かかっているんですね。それが高城さんのつくられるCGになると、映像が動いているわけですよね。そうすると、膨大な時間がかかっているんじゃないかと思うんですが。

高城「かかってるよ、膨大な時間が

何か楽にできる方法があるわけじゃないんですね。

高城「ないない。
マルチメディアというのは、体力と根性だと僕はよく言うんですけれど、コンピュータというのは体力と根性です。
三日も四日も寝ないでやるわけです。
だから体力だし、根性、気力がないと。
コンピュータよりも大切なのは、人間の体力と根性。
星飛雄馬(漫画『巨人の星』)ですから

何日も徹夜というのは当たり前なんでしょうが、完成した作品は、楽しくて人にパワーを与えるもので、楽々としている感じが伝わるものですよね。

高城「そう、カジュアルということが大切だと思う。
高いマシンを使って、コンピュータらしいことをやるのは、すごく簡単なことです。
そうではなくて、僕はお茶の間感覚で、みんなにこんな楽しいものを触って欲しいと思う

やってみたいなぁ、と思わせる何かですね。

高城「そうそう、そういう意味でのカジュアル性。
ポップなものにしたいんです

なるほど。高度なCGを見ると、とてもこんなことは自分たちにはできないだろうなと思ってしまうわけですが、カジュアルCGなら、これなら私にもできるかもしれないと思わせてしまうわけですね。

高城「子供が絵日記を描くような気持ちで、みんなが触ってもらえるのがベストだな

ただ、やる気と時間ですね。

高城「そう、だから星飛雄馬なんですよ。
ピッチャーになりたいと思えば、ボールとグローブがあればいい。あとは『巨人の星』になるんだという根性と体力じゃない。
それは誰もが変わらない、今はね。昔は違っていたけれど。

 誰もがもっている可能性というものを広げる意味で、コンピュータっていうのはおもしろいと思うから、カジュアルであるべきだと思う」


ドラマ "Banana Chips Love" ~ Ending ( 高城剛監督 1991) - YouTube


高城さんの一番新しい仕事について、聞かせていただけますか?

高城「ドラマの演出なんですけれど、目に見えないものを信じよう、それが神であったり人間と人間のつながりであったり、その目に見えないつながりをいかに信じるか、その信じることをテーマに撮っている。ポップでお茶の間を舞台にしたものを扱っています

このフィラを読んでいる人にとっては、水晶のパワーとか植物の気持ちとか、気の世界などというのは違和感なしに話せると思うんですが、でも一般の人にはまだまだ見えないものというのは信じられないでしょう。

高城「まだまだ、こういう世界はクローズド(CLOSED)の世界だよね。普通の高校生は考えないよね。
僕は普通の高校生が考えるような、もっとポップなものにしたい。普通のテレビではそういうことはしないわけ、殺人事件のドラマとかわかりやすいじゃない。
僕の狙いは、ひじょうにわかりずらいテーマをわかりやすくしようということなんです

それはCGとか使ってつくられるんですか?

高城「いや、そんなには使わない。
一部には使うけれど。
CGの一番すごいところは、これコンピュータでつくったのかな、と思わせないところ

そうですね。幕張のイベントで見て、ああ、これもCGだったのかと思った作品もありました。

高城「僕は車の運転の話をよくするんだけど、運転のうまい人は、一緒に乗っている人に運転がうまいと思わせない。
うまいと思わせたら、それはどこかでテクニックをひけらかせているわけ。
だからコンピュータの上手な使い方というのは、『あれ、これコンピュータでつくったの?』ぐらいにしか感じさせないことなんだ

そうすると反対に、コンピュータでこんなことができるということが知られない、ということにもなるんじゃないですか?

高城「うん、それでいいんだよ。
コンピュータでつくることが当たり前になるから。
だからそこで何を言っているかということが大切になる

なるほど。

高城「それはどんなものでも同じ。
たとえば、キャンバスに向かって油絵で描くのも、コンピュータを使って絵を描くのも変わらない

何を使うかということより、何を伝えたいのかということが大切なんですね。

高城「そう


Mr.Children - everybody goes 〜秩序のない現代にドロップキック〜(高城 剛作品)/
桑田佳祐&Mr.Children - 奇跡の地球 < PV >


僕らに内在する可能性をもっともっと信じた方がいい  

超自然的なことに興味があるということを、少し聞きたいんですけれど。

高城「だから、目に見えないものをすごく信じるんだよ。
わかんないけど、今の子供たちはみんなそうなんだよ。

たとえばテレビゲームとかやっているじゃない。
みんなそのゲームの裏技とか、隠れコマンドとか、そういう表に出てこないものをすごく信じてる。
今、『X』というバンドが売れているけれど、みんな仕組みは同じなんだよ。

[2008年 X JAPAN 再結成コンサート立体映像担当]

YouTube

X.Japan LIVE! 2008

XJAPAN 紅 2008年9月1日

僕、個人的にはわかるんだよ。
こうして座っていると、前にいる人がわかるんだよ

どれぐらい前からですか?

高城「四年ぐらい前からかな

何かきっかけがありますか?

高城「いや、なんにもない。
瞑想とかしている人には多いんじゃない。
こういうことわかる人

ええ、そうですね。高城さんは、どういう風にわかるんですか。たとえば、相手の体調が
わかるとか。

高城「うん、そういうのも全部わかる。
だから、体調、考えていること、もっとこうしたらいいとかもよくわかる。
だから、僕はコマーシャルとか撮るの得意なんですよ。
これをこういう風に売ったほうがいいというのは、ひじょうに得意なの。
なぜかというと、街を歩いていて、みんなが何を欲しがっているかよくわかるから

そういうときって、ポジティブなものと同時に、ネガティブなものも感じるのではありませんか?

高城「うん、両方わかる

平気ですか?

高城「まあね。
だから街を歩いていると、みんながこういうものが欲しいんだなってわかる。
僕は映像の演出をしてるでしょ、だからこういう番組が見たいんだなってわかる

それはすごい。瞑想とかしていないのにそういうことがわかるようになったんですね。

高城「もともと僕はあまり欲望とかなかったけれど、ある時に金とか権力とか、そんなものどうでもいいと思い始めたんだよね。
そのときから

今から四年前というと、二十三、四歳ですよね。それで、もうお金とか権力とかどうでもよくなったんですか?

高城「もともとそういうのがない方だったけれど、その当時は家を出て、車で暮らしていて、どうでもいいと思ったんだ。
まぁ、昔からそういう目に見えないものを信じていたし、いまだに三輪山(奈良県)とかよく行くよ。
関東では大宮の氷川神社にも一か月に一回は行くかな

気持ちがいいですね。

高城「洗われる。
さっき言っていたように、ネガティブなものをしょったりすることもたまにはあるから、そういうものを捨てるポイントとしては最高。
五行陰陽法の先生に聞いたんだ。
それで行ってみたら良かったから、初日の出もそこで見る。
本当の初日の出って、一月一日じゃないからね

それは旧暦かなにかですか?

高城「そう。
年に一度、気とか集結する日だから、冬至祭の前の一番気の高まる日というのが、
もともとの元旦

そういう分野の本はよく読まれるんですか?

高城「たくさん読んでいますよ

そうだったんですか。そういう人がCGをつくっているというのも、おもしろいですね。

高城「僕の中では同じだから。
目に見えないものを感じたり、伝えたりするとき、CGは便利なものだから

目に見えないものを感じている人はたくさんいて、それを仲間同士で話している人もたくさんいると思うのですが、それを外に向かって表現している人はまだ少ないですよね。

高城「精神おたくだよね。
僕はおたくは嫌いなんだ。
それをいかに人に伝えていくかというのが重要だと思う

ミスター・スポックが三十センチ宙に浮いているというコマーシャルの映像なども、
目に見えない世界を高城さんなりに表現しているわけですね。

高城「そう。
わかりやすいじゃない。
あれは初めは未来を考えてくれというテーマにしたんだ。
子供とか宇宙とかではなく、僕らに内在する可能性というものを表現していきたい。
僕らに内在する可能性をもっともっと信じた方がいい。
信じれば信じるだけの可能性を僕らはもっているわけ。
もっともっと可能性を信じることが大切。
機械を信じている人が多いけれど、機械の進化によって僕らが進化するのではない。
僕ら自身を信じることが、今一番大切だと思う

そうですね。

高城「僕はむずかしいことはあんまり考えてないんだよ。
コンピュータのプログラムとかそういうのも。
コンピュータ映像の仕事もなんとなくやってしまう。
だから、前の日に夢で見たから、あくる日の撮影は変えてしまうなんてことは
よくありますね。
たとえば夢の中で次の日に撮影するシーンで雨が降っていたから、傘をもたせるとか。
そういうことをよくする」

撮影は晴れの準備しかしていなかったら、スタッフは困るでしょう。

高城「そう。
傘なんてないですよとか言うから、そこの店で売っているのでいいからとか言って


映画『SFサムライ・フィクション』 ( プロデューサー兼特撮監督 ) 1997


デビッド・リンチに会ったんだよ  

それは、まるでデビッド・リンチみたいですね。

高城「うん、そうだね。
こないだ、デビッド・リンチに会ったんだよ

えっ、そうなんですか。

高城「ここのマックを置いてある机はリンチの作った机なんだよ
(小さな三十センチくらいのもので、上にはノートブック型の小型のマックが置いてある)

デビッド・リンチ監督が机を作っているんですか?

高城「デビッド・リンチって人嫌いで、取材とか申し込んでも会わないんだけど、
ロサンジェルスの家具屋に行ったら、この机があって『ああ、これいいな』って言ったら、
そこの女主人が『これはデビッド・リンチが作ったものですよ』
リンチ、会いたいな』と言ったら、『じゃ、会わせてあげる』って。
仕事中に机かついで行ってお邪魔して『サインしてください』って。
それで話して。暇なときには、机を作っているんだって。
ツイン・ピークスの中にベイマツというのが出てくるけれど、その木で作ってある。

僕の夢で見たように、撮影のシーンではいろいろ変えるんですよとか話すと、『それは大切だ』とか『ファンタスティックだ』とか言ってたよ

(☆『ツイン・ピークス』は昨年<1991年>アメリカで大ヒットした連続ドラマで日本でも話題に
なっている)

ヘェー、おもしろい人ですね。やっぱりツイン・ピークスの中のあの話し方なんですか?

デビッド・リンチ監督は、ツイン・ピークスの中でFBIの捜査官の上司として登場している。
耳が不自由で、補聴器をつけて大声で話すという役柄)


David Lynch - Gordon Cole and Shelly Johnson. Twin Peaks - YouTube


高城「そう、あのまんま。声がでかくて、高くて変じゃない、あのまんまなの。
ツイン・ピークスが好きで、ツアーに行って来たんだよ。
ツイン・ピークスツアー」

一般の人と一緒に?

高城「そう。JTBのツアー。旗持って、みんなで

パイも食べたんですか?

高城「チェリーパイ食べて、コーヒー飲んできたよ。
『ダブル・アール・ダイナー』(実在の店はマーケティ・カフェという)に行って。
デビッド・リンチはそこで育ったんだって。
それからグレート・ノーザンホテルに泊まって。
滝のきれいなホテルだったよ

そしてロサンゼルスでデビッド・リンチに会えた…。

高城「巨人にも会えたよ。

ツイン・ピークスの中で現実の存在ではなく、クーパー捜査官にメッセージを伝える存在として
出てくる)


Twin Peaks "Giant tell three things, Smiling bag, Owls, He points" - YouTube


本当にあれくらい大きいんだよ。
でかくて、驚き。
マックと一緒に、アミーガというコンピュータを使って、彼もCGをつくっているんだよ

じゃ、巨人と同業だったんですね。

高城「そうそう、お互い同業じゃないか、なんて話をしたんだ

瞑想をすると、巨人のイメージとか見ることがあるんですが、あのシーンなども、そういう幻想の世界というか、異次元の世界の雰囲気をよく出しているなぁと感じますね。あれもCGですか?

高城「いや、あれはデジタル・ビデオではなくて、コンピュータが入っているビデオがあるんだけど、
それでつくっている。
リンチは毎日瞑想をしているって言ってたよ。
エスプレッソを飲みながら、やるって。
瞑想するときエスプレッソを置く机が、僕が買ってきた机なの

やっぱり、あのFBI捜査官が毎日瞑想をしたり、ヨガをしたりするのは、リンチ監督がそうだから
なんですね。

高城「うん。ひじょうにナイスガイだった。
今は映画をつくっていたよ。
ツイン・ピークスの映画

日本でも五月に公開の予定ですよね。

高城「だけど、まだ編集していたよ。
全然できてなくて、林家三平みたいに『間に合うかなぁ』って頭かいていた。
(フィルムを)プリントするのに一ヵ月かかるから本当に『間に合うかなぁ』の世界なの

高城さんのテレビの番組は大丈夫ですか?

高城「僕も『間に合うかなぁ』の世界です

最後に、その春からの番組について教えていただけますか?

高城「四月十五日からフジテレビ系列で放送になります。タイトルは『アルファベット2/3』です

見えない世界ポップにとらえたドラマ『アルファベット2/3』。
高城さんがどのように、自分が大切に思っていることを表現してくれるのか楽しみですね。


alphabet 2/3 episode F-1 - YouTube


1995年CM NTT 高城剛


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